「空目」は「空耳」の造語ではない

「空目」とは?

空目」という言葉をご存知ですか? Twitter(現X)をはじめて、初めて知った言葉に「空目(そらめ)」があります。

具体的には「○○を△△に空目した」のような使い方をするのですが、てっきり「空耳」に対する造語だと思っていたんです。「空耳」は実在するけど「空目」はそれに起因するネットスラングなのではないかと思っていました。

しかし改めて調べてみると「空目」もちゃんと辞書に載っているではありませんか!

「空目」とは

そこで、ふと思い立って調べてみたら、なんと「空目」が辞書にあるじゃないですか!

完全に「空耳」の耳に対して目で「空目」としてつくられたネットの造語(ネットスラング)だとばかり思っていたので、けっこう驚きました。だって、人生で初めて知ったのですからね。

さて、そらめ【空目】の意味 国語辞典 – goo辞書によれば、次のように説明されています。

(1)見えないのに見たように思うこと。

(2)見て見ないふりをすること。

「―を使う」

(3)ひとみを上に向けること。うわめ。

「羽織を畳みながら一寸余の顔を―で見る/大内旅宿(虚子)」

よく使われる意味としては「見えないのに見たように思うこと」が多いでしょうか。むしろ(2)や(3)のような意味があるとは思いませんでした。

そして「空目」という言葉自体は古くからあるもののようです。

Wikipediaでもチェック

空目 – Wikipediaでは次のように説明されていました。

(1)そこに存在していないものを見たと認識してしまう事

(2)実際には見ているものを見ていないふりをする事

(3)顔全体でなく瞳だけを上に向けて見る事

一般的に知られている意味としては(1)だと思いますが(2)(3)のような用法もあるのですね。ただ(2)(3)の意味合いで「空目」が使われているのは見たことがありませんが。

ただし、一般的に使われるようになった「空目」は「見えないのに見たように思うこと」ともまた違い、単純に見間違えたという使い方が広まっているように思います。

ということで「空目」は「空耳」に対する造語ではない、というお話でした。Twitterでつぶやいたら知らない人も多かったので、ブログでメモしておきます。

「空目」しやすい言葉

調べていくと「空目」しやすい言葉というものもあります。

パッと見て思わず空目してしまう言葉ランキングでは1〜5位は次のようになっていました。

1位 トレイ/トイレ

2位 おじや/おやじ

3位 ひつまぶし/ひまつぶし

4位 相模/相撲

5位 チクワ/チワワ

「相模」と「相撲」の空目はぼくも経験がありまして「相模中学」と書かれたジャージを見て「なぜ相撲中学なんだろう?」と思っていたことがありました。

「空目」のツイート

「空目」を使ったツイートには以下のようなものがあります。実際に「空目」をしたという体験談がツイートされたものですね。

車内吊りの「プールトクトクパス」を「プールオクトパス」に空目。タコがいるプールってきもちわるいかもーって思ったww

— kuro (@kuroppie) 2017年8月21日

KindleをKinKi Kidsと空目して、逆ならまだしも。朝から疲れているのかもしれない。

— 鈴木マサカズ@子供を殺して1発売中 (@suzukimasakazu) 2017年8月21日

カーボンローラーをカルボナーラに空目

— アシベニイグチ (@B_calopus) 2017年8月12日

「空目」をツイートするbotもありました。

ぴすたちお空目bot(@pistachio_s_bot)さん | Twitter

空目さんin知左木(@k_aznsa)さん | Twitter

空目・空耳ボット(@mishearing_bot)さん | Twitter

「空耳アワー」があるので、さながら「空目アワー」っていったところでしょうか(謎)。

※この記事を書いた2009年当時は「空目」は珍しい言葉のように感じていましたが、8年が経過した2017年には普通に使われるようになっています。