チェコの世界遺産「リトミシュル城」 #チェコへ行こう #visitCzech

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チェコにはユネスコの世界遺産に登録された場所が12カ所あります。国土の広さは北海道ほどですので、その数は多いといえるでしょう(北海道は知床のみ)。ご紹介するのは、チェコの世界遺産の一つ「リトミシュル城」です。

リトミシュルは人口約1万人の小さな町ですが、アーティストや作曲家が暮らす町として知られています。作曲家のスメタナもリトミシュル出身で、町の中心部にはスメタナ広場もあります。プラハからは約165kmほどのところに位置します。

世界遺産「リトミシュル城」はブラティスラフ・ペルンシュテインにより1568〜1581年に建築されたルネッサンス様式の城で、イタリア風アーケードを取り入れています。また外壁は8,000枚のズグラフィット装飾で覆われています。

城内にあるビール醸造所は、音楽家のスメタナが生まれたことでも知られています。

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城の外塀にもさりげなく歴史を感じるものがふらりとあるのが、チェコの歴史の凄さだと感じました。どこを見ても、歴史があります。

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このフランス式の庭園も世界遺産の一部となっています。

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宿泊施設もあり、世界遺産に宿泊するという珍しい体験も可能です。

「リトミシュル城」の入場料

「リトミシュル城」は城内を自由に散策するのではなく、ガイドツアーに参加する必要があります。英語のガイドツアーは大人が240チェココルナです。日本円にすると1,000円くらいです。料金はコチラから確認することができます。

「リトミシュル城」のズグラフィット(掻き絵)

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「Sgraffito」はズグラッフィート、ズグラフィト、スグラッフィートといった読み方がされるそうですが、ここではズグラフィットとします。ズグラフィットは日本語だと掻き絵となるでしょうか。イタリアからやってきた技法で、2層の色違いの漆喰の表面を引っ掻くことで絵を描きます。

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「リトミシュル城」は、城の外壁が全てズグラフィットで覆われています。その数は約8,000枚で、同じ絵柄は一つとしてないそうです。

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ズグラフィットは見た目が封筒のようなので、レターズとも呼ばれています。

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このズグラフィットは城ができた当時からずっと描かれていたかというと、そうではないのです。新しい城が作られたのが16世紀。その頃にズグラフィットは描かれましたが、17世紀に「モダンじゃない」という理由で、一度は白く塗られてしまったのです!!!

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時は流れ1980年代。「リトミシュル城」の修復を依頼されたチェコを代表する彫刻家のゾウベクが、埋め込まれていたズグラフィットを復活させました。一度は消されてしまったズグラフィットですが、再び目にすることができるようになって本当に良かったです。

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「リトミシュル城」の中庭です。

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中庭から見える壁にも、立派な絵が描かれています。これは聖書出展の物語が描かれていると言われています。

「リトミシュル城」のバロック劇場

見学ツアーには、城内のバロック様式の劇場も含まれます。

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バロック劇場は1797年につくられました。クラシシズム(古典主義)という様式でペインティングされており、石に見えるようなところも絵で描かれており、だまし絵風になっています。

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ここで演じていたのは貴族たち自身で、役者がいたのではなく、自分たちが演じて楽しんでいました。ほとんどの演目は楽しむためのコメディで、観客はゲストの貴族や商人だったということです。

オリジナルのバロック劇場は、世界に5カ所しかないそうです。チェコ、スウェーデンにが二つ、ロシア、そしてここチェコのリトミシュルです。もちろん、今では上演は行われていません。

「リトミシュル城」の城内の写真

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エントランスルームです。お客さんがきたらここで待つ部屋で、そのためにベンチがあります。ベンチにはペルンシュテイン家の紋章が描かれています。

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ミーティングなどをした部屋で、劇場と同じ人が壁をペイントしています。

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貴族たちのためのミーティングルーム、その1。

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貴族たちのためのミーティングルーム、その2。

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召使いの部屋と言われているそうですが、その理由は壁にペイントがないことだそうです。

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城のオーナーは4人変わっています。

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女性の部屋で、城の中で唯一暖炉があります。

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なぜ馬の絵が描かれているかというと、貴族は馬でこの部屋まで待機したからです。

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馬が登りやすいように、階段の段差は低めになっています。階段すら馬で登るなんて、貴族ってとんでもないな、と思いました。でも、これが威厳を示すことにも繋がったのでしょうね。

「リトミシュル城」の地下にはワインセラーがある

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城内見学が終わったらワインがサーブされたのですが、これは城の地下にワインセラーがあるからなのです。いい温度がキープされるため、ワインが貯蔵がされているそう。なお、城のガイドツアーとワインセラーは別です。

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チェコはビールだけでなくワインも安く、美味しい白ワインが1本1,000円していませんでした。日照時間の関係から、チェコでつくられるワインの多くは白ワインです。

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確かに地下のワインセラーに行くと、寒いくらいでした。

「リトミシュル城」の地下にはギャラリーもある

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「リトミシュル城」の地下にはギャラリーもあります。

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こちらで展示されているのは「リトミシュル城」の修復も手掛けた、チェコを代表する彫刻家のオルブラム・ゾウベク(Zoubek)の作品です。

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「リトミシュル城」とゾウベクには繋がりがあります。ゾウベクはプラハ出身ですが、共産主義時代に作品作りができなくなってしまいました。

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その時にゾウベクは「リトミシュル城」の修復のために、リトミシュルに送られます。そこで2番目の妻と出会い住むことに。

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現在は91歳とのことですが、車椅子でガストロノミーフェスにもいらしていたそうです。気づかずに残念なことをしました!

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1ヶ月前に最後だといって作品を作ったそうですが、もう本当に作らないのでしょうか‥‥?

ヴァーツラフ・ハヴェルのハート

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さらに「リトミシュル城」の地下には「ヴァーツラフ・ハヴェルのハート」と呼ばれる作品もあります。ヴァーツラフ・ハヴェルは国民から愛されたチェコ共和国の初代大統領で、2011年に亡くなった際に、国民が灯したキャンドルの残りのロウが集められ、ハートの形をした作品に作り上げられました。

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ヴァーツラフ・ハヴェルがサインをする特に、必ずハートを描いたことに起因しているそうです。ハートはできたすぐ後はチェコ国内を巡回し、ヴァーツラフ・ハヴェルが首相として会議を持ったのがリトミシュルだったことから、ここに置くことになりました。ここなら涼しくてロウも溶けません。

ベドリフ・スメタナの生家

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城内には、音楽家のベドリフ・スメタナの生家もあります。元はビール醸造所でしたが、現在は記念館となっています。スメタナは1824年に、城付属のビール工場で生まれました。父がビール醸造所の杜氏でした。

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スメタナは11番目の子でしたが、10人が女の子だったため、父親はビール樽を庭に持ち出して息子の誕生を祝ったと言われています。その後、1825年にスメタナ一家はリトミシュルの広場に家を買い、引っ越します。そしてスメタナは、音楽の才能を開花させていきます。

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記念館では、スメタナの兄弟の記憶をもとに、当時の様子を再現しています。

「リトミシュル城」がユネスコの世界遺産に登録されたのは、1999年のことでした。

聖十字架発見教会

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「リトミシュル城」の横には、1714〜1722年にかけて建てられた「聖十字架発見教会」があります。この規模の建物が8年という短い期間で建てられたのは、非常に興味深いことだそうです。当初はこのような形ではなく、4つの火事に遭い改築が行われてきました。

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もう一つ改築の理由があります。それは、チェコが共産主義時代にはカトリック、キリスト教ほか宗教に関心が向けられずぞんざいに扱われていたため、改築が必要になったということです。信じられませんが、ここもトラクターの保管庫になっていたのだそうです。

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数ある少ないオリジナルのものがベンチです。白い4つの像は石で作られているように見えますが、木で作られてペイントされています。

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2011〜14年に作り変えられた際に、アートギャラリーとして使うようにもなりました。そのため、展示物を見るために渡り廊下が作られました。

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煉獄小聖堂は亡くなった人に祈りを捧げる場所で、ここには家族が祈りを捧げに来ていました。現在は使われていません。

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「聖十字架発見教会」はミサを普段からやるような教会ではなく、クリスマスなどのイベントごとに行われるそうです。最も多く使用されるのはウェディングとのことでした。

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見どころは最上階の展望台で、このあたりでは観光客が上がることのできる最も高い場所であり、四方を見渡すことができるとても見晴らしの良い場所です。

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「リトミシュル城」も一望できます。

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リトミシュルの町並みも美しいですね。

リトミシュル地域博物館

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さらに隣には「リトミシュル地域博物館」があり、12世紀から現在までのリトミシュルの変遷を知ることができます。ただ、展示物には英語はありませんので、詳細を知るのは観光客だと難しいかもしれません。

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「リトミシュル地域博物館」をリニューアルした時に発見された遺跡が見どころの一つです。そのまま館内に展示されています。

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こんなコスプレも楽しめました。

「リトミシュル城」の行き方・アクセス

>>Czech Republic – リトミシュル城と城館敷地の景観地区

住所:Jiráskova 93 570 01 Litomyšl

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