
Adobeが、フォントライブラリサービス「Adobe Typekit」にモリサワグループの20書体(リュウミン L-KL、太ミンA101など)を追加したことを発表しました。Adobe Creative Cloud のサブスクリプションユーザーは、追加費用なしで使用可能です。
「Adobe Typekit」は、Adobe Creative Cloudのサブスクリプションユーザーに提供されている高品質なフォントライブラリーで、ユーザーは「Adobe Typekit」に含まれるフォントをウェブフォントやデスクトップフォントとして自由に使用することができます。

今回、モリサワのモリサワ書体と、モリサワグループであるタイプバンクの提供するタイプバンク書体の計20書体が、2015年10月6日より「Adobe Typekit」に追加されたことが発表されました。
これまで「Adobe Typekit」の日本語書体はAdobeが開発した14書体でしたが、これで20書体が追加され、合計で34書体となります。
追加される20書体は以下の通りです(*はタイプバンク書体)。
・リュウミン L-KL
・太ミンA101
・見出しミンMA31
・中ゴシックBBB
・太ゴB101
・見出しゴMB31
・じゅん101
・TB シネマ丸ゴシック *
・ちび丸ゴシックPlusK R *
・篠 -M *
・日活正楷書体 *
・ぶらっしゅ *
・サン -M *
・TBカリグラゴシック E *
・漢字タイポス415 R *
・UD 新ゴ L
・UD 黎ミン L
・UD 新丸ゴ L
・TB 新聞明朝 L *
・TB 新聞ゴシック M *
ロサンゼルスで開催されているカンファレンス「Adobe MAX」で、モリサワ社長から話を聞くことができました。
「クラウド環境下で書体を使うという流れ、モリサワグループが所有する20書体をTypeKitで利用できるよう提供することにした。30年前に2書体から始まったものが、20書体に。今までリーチできていなかった海外マーケットでも利用してもらうチャンスが増えるだろう、と」
「なぜこういう書体を選んだか?」という質問には「できる限りレパートリーを広く出そうとしたことが一つ、日本だとモリサワパスポートがあるがそこにないものが7書体」と回答しました。
「今回の20でも足りないかもしれませんが、まずはTypeKitを使って貰う企業が増えるのではないか? まずモリサワを試したいという場合は、これからはクリエイティブクラウド経由で、ということが容易にできるようになるのでは。
Adobe COMP CCでも使える。仕事でラフを作るのにも便利ではないか。デスクトップにも送れる。作業のワークフローが変わるのでは。TypeKitによって十分使ってもらえるようになった」

「TypeKit」のジェネラルマネージャーからは次のような話が聞けました。
「AdobeのTypeKitは今年の6月にエンハンスされた。TypeKitとはなんなのか? サブスクリプションのサービスで、50社以上のライセンス供与を受けてつくられたライブラリ。ユーザーがブラウズして選択できるライブラリ。
もともとは10種類。モリサワが入ったことで、真の意味で使えるフォントセットが提供できるようになったと考えている。よく使われるフォントのニーズにこたえられる。
日本の漢字はアピールがある。アメリカ人が見ると神秘的な感じがする。想像力がかきたてられる。Netflixで映画を見るような世界がある。

Adobeのアプリでなくてもフォントは使える。WindowsでもMacでも使える。フォントメニューがあるデスクトップアプリであれば使える。
最後にアドビとモリサワの関係について。Typeはアドビの古い製品の一つ。最初はポストスクリプト。その時代はアドビとモリサワがコラボレーションしたのがそこにさかのぼる。だいたい28年。これだけの古い関係を新しく出発することを嬉しく思う」
質疑応答
Q. 今後、フォントを増やすか? 増やすとしたら何を基準に増やすか?
A. ベーシックセットとしてこれで良いかと思っている。カスタマーがとっかかりとして高品質のフォントを使っていく、といういいスタート地点になると考えている。そしてモリサワのパスポートというサービスを発見して貰えたらと良いと思っている。長期的な目的は、カスタマーがいろいろな書体を発見する形で広げていきたい。
「どこで買えるか?」という問い合わせが非常に増えているそうですが、「Adobeのプラットフォームでフォントを選んで頂く」という、プラットフォームを広げることを考えているそうです。ちなみに、問い合わせが多い書体は新ゴなどとのことでした。
「Adobe MAX」の取材に関して
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