「シズル感」とは?(シズル感から空気感へ)

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広告代理店から転職してきた人が「シズル感」という言葉を使っていて「どういう意味なんだろう? 日本語?」と思ったのも今は昔です。なんとなく「美味しそうに見える」くらいの意味だろうと理解して10年くらい経過したのですが、シズル感だけじゃない! 料理写真家が教えるスマホ撮影術(1)という記事によると、営業コンサルタントの提唱したセールストークに由来したものだったのですね。

まず料理写真では多くの場合「おいしそうに見える」ことが求められ、「シズル感」という言葉がよく使われます(シズル感は20世紀半ばに米国で活躍した営業コンサルタントのエルマー・ホイラー氏が提唱した、成功するセールストークの5つのメソッド「ホイラーの公式」の第一条「ステーキを売るな。シズルを売れ!」に由来する)。

「シズル感」というと、滴り落ちるような光景がイメージされて日本語にも思えたのですが、そうか「sizzle」か!

sizzle

〈揚げ物などが〉シューシュー[ジュージュー]いう.

「ジュワーッととろける瞬間やパチパチと焼ける具合、グツグツと煮えている様子」など、思わずツバをごくりとやってしまうような瞬間という訳ですね。

なるほどなるほど。なるほどですね。

ちなみに「ステーキを売るなシズルを売れ」という、ホイラーの公式そのものズバリの書籍がありました。

さて、記事の方では「シズル感」から「空気感」が求められるようになってきている、と触れられています。

素材感のある木目のテーブルにオーガニック素材のクロス(布)がかかっていて、ナチュラルテイストのプレートに素材を生かした料理が盛られている。場合によっては、乾杯している人の手が入ったりして、ホームパーティーのワンシーンを上からのぞいているような写真です。

SNSの普及で料理写真をアップする人が増えましたが、真上から撮っているアレですね。

料理の「シズル感」へのフォーカスではなく、ちょっと距離を取った「空気感」を切り取る写真を求めている人が増えつつあるということです。この写真の撮り方の変遷、分かる気がします。