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2016年5月11日、フランスで実績のあるネオポストとヤマトグループが共同で事業開始する、オープン型宅配ロッカーの記者発表会が行なわれました。設立されるのは「Packcity Japan(パックシティー・ジャパン)」で、複数の事業者が使用できるオープン型宅配ロッカーを展開していくとしています。

ヤマトホールディングス株式会社の山内雅喜社長からコメント。

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「思いについて述べる。日本の社会はライフスタイルが変化し、新たな社会的な課題をいくつも抱えているのが現状。地域それぞれの過疎化等による地域格差、コミュニティの希薄化、少子高齢化による核家族化、核家族化による共働き世帯の増加。

購買というスタイルにもEコマースを中心としたネットによる購入というスタイルなど、大きく変化してきている。Eコマースの拡大により、それぞれを届ける物流ネットワークも変化に追いついていかなければならない、こういった社会的課題がある。最近では不在再配達への対応、注目を集めている。

このような社会的課題をそれぞれの会社が解決していこうというのは、かなり難しいのではないかと考えている。これらを解決するには業界、業界の垣根をこえた連携によって新しい解決を見出す必要があると考える。キーワードはオープン化。

いろいろな事業者がお互いに共同で利用しあう、オープン化をすることで社会的課題は解決していけるのではないか。設立したパックシティー・ジャパンはオープン化を進めていく、担う会社として位置づけている。今回はEコマースを中心とした宅配に関して、複数の事業者が利用できるプラットフォームを作り上げていく。オープン型宅配ロッカーネットワークの構築を進めていきたい」

ネオポストのドゥニ・ティエリCEOからコメント。

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「なぜネオポストが? と思っている人がいるだろう。ネオポストは12億ユーロの売上を誇る企業。収益の大半は国外の売上となっている。フランスは43%以下。極めてグローバルな企業である。最大の市場は北米。全体の43%。最も成長著しいのがアジア太平洋地域。現在は7%を占める。従業員数は6,000人を超えている。30カ国で展開。上場企業であり、パリで上場している。

収益性の高い企業で高いキャッシュフローを生み出している。EBITマージンは20%近い水準。年間1,000万ユーロの規模で投資も行っている(13億円)。メールサービスという伝統的な事業の上に新しいことをしようとしている。

現在は郵便事業が中心。残念ながら物理的な郵便事業は減少傾向。これからの長期の成長を依存するわけにはいかない。投資を新市場に行うようになってきた。伝統的な郵便事業を補完する形で。大きく分けて2つのテクノロジー。デジタルコミュニケーションとシッピング。

ガートナー、フォレスターにおいてもデジタルコミュニケーションの分野でリーダーシップを発揮している企業と認知されている。シッピングは過去数年間でグローバルで展開するまでになっている。小包、パッケージのアクセスを簡単にするというソリューションの提供に務めてきた。

このジョイントベンチャーは私たちにとっては確認作業であると考えている。進んでいる道が間違いないことを確認する。小包の配送事業において、ユーザーが容易にアクセスすることができることを実現する。そのためにヤマトグループと手を組み、オープン型の事業を展開する。

なぜ日本にきたのか? 私たちのコミットメントの証左である。私たちが日本の市場に対していかに真摯にコミットメントしているか」

国土交通省の羽尾一郎物流審議官からコメント。

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「物量業界でトラックドライバーをはじめとする労働力不足に直面している。地球温暖化にも取り組む必要がある。近年、Eコマースの発展に伴い宅配便の取り扱いも急増。再配達も大幅に増えている。国土交通省でも重要な課題であると認識。昨年度、受取方法の多様化の検討会を立ち上げ議論を進めてきた。幅広い分野の人たちに参加して貰い、宅配について議論した初の場となった。

再配達の結果、年間9万人に相当するトラックドライバーが消費されている。山手線の2.5倍のCO2が余分に排出されているという社会的損失が確認された。再配達の削減に取り組むことは社会的な課題である。既存の枠組みを超えて取り組むのが大事とされた。

この度の取り組みは特定の事業者に限らないオープン型宅配ロッカーを設置するというとは、具体策の一つとして公道を開始されたと高く評価するもの。この結果、日本郵便、佐川急便といった他の物流事業者、通販事業者、多様な関係者が今日も集まっている、とても素晴らしいこと。

消費者の利便を第一に考えていることに敬意を表したい。ライバルでありながら協力する決断をした関係各社にも敬意を表する。

オープン型宅配ロッカーへの潜在的ニーズも高い。一連の取り組みは今後のあり方、新しい姿となることを期待している。物流に関してもオールジャパンで。本日の取り組みを積極的に応援していきたい」

両社の連携に関して具体的に説明

ネオポストシッピングのアランCEOから説明。

ネオポストグループの事業部。従業員数は400名以上。半分以上がテクノロジー、商品の開発をしている。荷物のトラッキングをするのがソリューションの内容。ネオポストのコアな顧客は中小企業。

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ネオポストシッピングは小包が中心。Eコマースの受注から届けるまで一貫したソリューションで。自動梱包ソリューションも。発送のソリューション(ソフトウェア)。宅配ソリューション。これが「Packcity」。

「Packcity」は荷物の受け取りが30秒以内でできる。ユーザーフレンドリーで使い方が簡単。万全のセキュリティ。カメラ、アラームがついている。ヒューマンインターフェースを介さないので機密保持ができる。

オープン型は数社で共有可能。主な設置場所は鉄道駅など。発送のために置いておき、数時間後に発送される。驚くようなサービスになっている。日本でも同じような課題を抱えているはず。

ヤマト運輸株式会社の長尾社長から説明。

ライフスタイルが多様化している。大きな変化が起こっている。インターネットの普及も8割を超えた。スマートフォンも普及拡大している。Eコマースの利用が拡大してきたこともライフスタイルの変化に大きな影響を及ぼしている。

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変化の中で課題を解決するためのキーワードが「Share」が使われるようになってきた。概念が少しずつ実体化してきている。例えばAirbnb、Uber。決して便利さだけを追求しているのではなく、無駄を排除しようとしている側面も見逃せないと考えている。「Share」はオープン型宅配ロッカーに繋がる。

自社のためだけのロッカーをいたるところに設置したと仮定する。利用者にしてみれば利用しにくい。それぞれの稼働率の低いロッカーが大量に生み出されることになってしまう。ヨーロッパではそういう状況が起こっている。そのような未来を日本で作ってはいけない。その考えがプロジェクト、本日に至った大きな動機になっている。

場所も取る宅配ロッカーを、各社が設置するのは社会にとっても経済にとっても大きな無駄である。

36億。2015年の日本の宅配便の数。2割。再配達の対象になっている数(国土交通省の調査による)。7億個が不在の対象に。24時間。オープン型宅配ロッカーは好きな時間に好きな場所てせ荷物を受け取りたいというニーズ、非対面で受け取りたいというニーズ、新しいニーズにこたえる新しいインフラになると考えている。

自宅以外の受け取りを指定することで、確実に受取ることができる。再配達の現象に繋がる。オープン型宅配ロッカーをシェアすることで、お客様に新たな利便性を提供し、無駄のない未来を作りたい。

誰でも利用できるのがオープンの思想。あらゆる事業者に参画して欲しい。荷物を送る、受け取る、Eコマースの事業者、場所を提供してくれる人も含め、参画して欲しい。そのために開かれたインフラでありたい。

駅、職場のそば、帰宅途中の道、オフィス、学校など、広がっていく可能性がある。いつでも好きなときに好きな場所で、オンデマンドで受け取ることができる。

オープン型宅配ロッカーネットワークり構築には、40年で培ってきた様々なノウハウ、データを活用できると考えている。どの地域に不在が多いのか、どの地域が不在の割合が高いのか、を把握している。

昨年の秋から東京メトロの5つの駅で運用テストをしてきた。佐川急便も協力。興味深いデータを得ることができた。

1. 引取の時間は21時以降が圧倒的に多い

2. Eコマースの比率が高い(約6割)

3. 木・金の受け取り頻度が高い(週末に時間を使いたくない?)

4. リピーターが30%と多い(荷物の数としては50%)

池袋、大井町、鶴見といったJR東日本の駅にも順次設置へ。鉄道だけでなくバスターミナル、コインパーキングなどにも設置。

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オープン型宅配ロッカーネットワークを拡充することで、世の中の利便性を向上させたい。

Packcity Japan COOとCEOから使い方の説明

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ハードウェアだけでなく、全ての商品がアクセス可能な形でサーバーに繋がっている。リモートで操作、管理することができる。トレーサビリティ、支払いを管理できる。インターフェースも大事。顧客企業のITシステムとも連携する。

インフラにはかなりの投資が必要。ビジネスモデルは明快。宅配ロッカーはPackcityが保有する。ITのインフラも。レンタルモデルになる。月額でのレンタル料を課金することになる。設置、運用、保守を含む。配送会社は、一列をレンタルする、という形をとる。

2022年までに日本全国で5,000箇所以上に設置予定。

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PUDO(Pick Up & Drop Off Station)とネーミング。

サイズはS、M、Lの3種類。タッチパネルによる簡単な操作。指でサインで受け取れる。常閉式で高いセキュリティ。

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利用方法。ECサイトで希望のPUDOステーションを指定する再配達先にPUDOステーションを指定することも可能。PUDOステーションに荷物を入れると4桁のパスワードがメールで届く。PUDOステーションで入力しサインすると扉が開いて荷物を受取ることができる。

質疑応答

Q. 収益手段はレンタル料だけか? 料金は?

A. レンタル料となる。頂く先は宅配事業者。1台いくらという設定となっている。公表はしていない。

Q. オープン化するということだが他社との共同利用の話は進んでいるか?

A. 声がけをしているとろ。交渉中。

Q. 列単位となると、そこは借りた事業者しか使えないのか? 無駄ではないか?

A. 列の中を切り分けることは可能。真ん中で切るとか。

Q. JR以外にも設置していく方向か?

A. 設置してもらえるように交渉していくつもり。

Q. 何列まで拡大できるのか?

A. 最大37列まで。最初は2列まで。

Q. 36億個の荷物ということだったが、何個くらいを宅配ロッカーで対応していきたいか?

A. 現時点では非公表。

Q. 稼働率が重要だと思うが目標はあるか?

A. 高ければ高い方が良いかと思うが。現状の目標としては7割。

Q. 会社単位で借りて使用するということだが、どのくらい稼働率であれば利用する会社はペイするのか?

A. 会社によって異なってくる。

Q. 一列を複数社で割るということだったがフランスではそういう利用の形はあるのか? 社会インフラとして使うためには列単位でどこまで広がるのか、フランスり先例があれば。

A. ユニットごとに様々な会社にお貸ししている。1列の時もあれば1ボックスの時もある。

Q. 宅配ロッカーはいろいろな場所に設置するということだが、スペース代は各社の利用料から支払うのか?

A. レンタル料は土地代も含めて請求する。

Q. 宅配ロッカーを貸し出すのは宅配ロッカー事業者のみか?

A. 現状はそうだが、今後は検討する。フランスではリテーラーに貸すこともある。ユニット1台をキャリアと小売業者で使うという事例もある。

Q. レンタル料でビジネスをたてるということだが、初期投資はかなり大きいと思われる。何年くらいで回収するビジネスモデルなのか?

A. 黒字化は3年目。投資額は非公表。

Q. 一台はいくらくらいなのか?

A. 非公表。

Q. 会社の設立に至るプロセスについて。2社だけだったのか、他にも話はあったのか。今後、増資の必要性が出た場合、出資者は募るか?

A. 基本的には不在に関しては回答を出す必要があると考えていた。ロッカー設置はプランとしては考えていたが、それぞれの会社がコストをかけて自社投資するのはどう計算しても合わない。その中でネオポストがフランスでオープン型のモデルを展開しているという情報を一昨年に聞き、情報交換を始めた。最初からオープンでやるべきだとは一貫した考え方だった。そういう意味では2社で話を続けている。

現状では考えていない。今後、検討していく。

Q. JP、佐川急便からは出資の話はなかった?

A. 複数社で出資する考え方もあった。しかし日本においてオープン型宅配ロッカーをどう立ち上げるかを優先した。スピードも必要だった。まずは2社で話を詰めてスタートするのが先決だろうと。今後の展開を踏まえてあるのかないのかといえば、否定するものではない。