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3Mというのは基礎研究された技術を組み合わせて製品を作っている会社、というのは何度かセミナーに参加させて頂いて得た理解となっています。様々な分野に向けて製品を作っており「こんなところまで3M」という驚きもありますが、一方で定番商品として知られているのは「ポスト・イット」でしょう。

「ポスト・イット」には、どんな歴史があったのでしょうか? 日本で発売されたのは1981年、今から35年前となります。四半世紀以上前から「ポスト・イット」は日本で売られていたのです。

「ポスト・イット」開発の秘密

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もともとの技術は1968年、アメリカの中央研究所で開発されました。スペンサー・シルバーという研究者が「よくつくけど簡単にはがれてしまう接着剤」を作り出してしまいます。

強い接着剤を作っていたのだから本来であれば放っておくべきところですが、3Mには15%カルチャーというものがあります。これは労働時間の15%を研究にあててもよい文化で、スペンサー・シルバーは意見を求めて会社を歩きまわったといいます。

アート・フライという研究者が1974年のある日曜日、教会で賛美歌を歌おうと本を開いたところ、しおりが落ちました。そこで「あの粘着剤を使えばいいんだ!」とひらめきます。

そして、単なる良いしおりではなく、はったりはがしたりできるメモ、コミュニケーションツールとして使える、ということに気づきます。これが「ポスト・イット」へと繋がっていくのです。

しかし通常のメモ用紙と比べて10倍近く価格が高く、マーケティング部が開発に難色示します。あきらめずに社内の秘書に試作品を配って歩いたところ実際に使われ便利だということが分かり、マーケティング部が動きました。

1977年、アメリカでテスト販売が開始されますが、結果は厳しいもので、プロジェクト中止の準備が始まりました。そんなプロジェクトを救ったのは、またもや秘書でした。500社の秘書にサンプリングした結果、好評で発売にこぎつけることができました。

日本では1981年に発売、ここでも60万個のサンプリングを実施し、徐々に売れていったそうです。

「ポスト・イット」はどうして貼ってはがせるの?

何気なく「ポスト・イット」は貼ったり剥がしたりしていますが、そもそもどうしてそんなことができるのでしょうか。なぜですか? と聞かれたら、ちゃんと答えられません。そんなこと、考えたこともありませんでしたが、その秘密を教えて頂きました。

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実は糊が球状になっているから、なのです。糊をどうやって球状にするのか良く分かりませんが、とにかく3Mにはそういう技術があり、それを使って「ポスト・イット」は作られている訳なのです。

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平面よりも球状が剥がれやすい、なぜなら球状なのでくっつく部分が少ないのです。剥がす時はびよーんと伸び、剥がれてぷよんと元に戻ります。

原理を説明されると確かにそうなのかもしれませんが、あの面と面でそんな化学的なことが行われていたとは!!

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と、そうは言われても信じられない人は確かにいる訳で、文具王が実験して見せてくれました。

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他社製品も交えての実験大会です。ひっじょーに分かりやすいです。「ポスト・イット」の類似製品というのは多数ありますが、当然、使われている技術が違うので、こうして粘着性も違ったりする訳です。

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糊に関しても「ほんとかよ!!」と顕微鏡で観察してくれています。

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確かに違う断面図。糊の付き方が違うのも、よく分かりました。

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インクに浸すと、インクの付き方も違ったりするのです。インクがしみないということは、書きづらいということでもあります。

こうした実験の結果、文具王は「ハイレベルに揃っているのがポスト・イット」であり「迷ったらポスト・イットを買っとけ」と断言していました。

3Mの粘着・接着とは?

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最初に「こんなところまで3M」と書きましたが、3Mには46のテクノロジープラットフォームがあり、それを活用して様々な分野に進出しています。「粘着・接着」もその一つ。「粘着・接着」の延長線上の製品の一つに「ポスト・イット」があるのです。

最近だと例えばこれ。

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この話を聞いてから目にすると気になるのですが、東京メトロのトイレの表示です。これも3Mの技術で貼り付けられています。これがあるとないとでは全く雰囲気も変わると思いますが「粘着・接着」の技術に支えられているのですね。

とにかく、くっついた剥がれないということで、こんな実験も行われました。

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鉄製のフレームに貼り付けたイス。

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「ポスト・イット」は貼ったり剥がしたりする技術でしたが、こちらは絶対に剥がれない技術です。どんだけ強いんだ!

このパワフルな粘着技術を知ると、知らない間にあちこちで3Mの技術でいろんなものが貼り付けられているんだろうな、と思う訳です。

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1秒で張り付くとかね、面白すぎでしょ。

最初からこういうものを作ろうとしているのではなく、基礎研究の組み合わせで様々な技術が誕生し、アイデアが積み上げられていくというのが、縁の下の力持ち的な会社である3Mの魅力ではないかと思います。そしてまた、3Mの縁の下を支えているのが、46のテクノロジープラットフォームだったりして。

3Mに関しては何度もブロガーイベントに参加させて頂きレポートを書いています。他の技術にも興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください!

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