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アドビの新社長に、元マイクロソフトの佐分利ユージン氏が就任し、その就任記者会見が日本橋のマンダリンオリエンタル東京で行われたのでレポートします。なお、佐分利ユージン氏は2014年7月1日より、アドビシステムズ株式会社の代表取締役社長に就任しています。

佐分利ユージン氏の社長就任時のプレスリリースによると、マイクロソフトに約19年間在籍し、日本マイクロソフト、アメリカ本社でそれぞれ働き、直近ではエンタープライズサーバ製品マーケティング担当ゼネラルマネージャーとしてビジネスを統括していたそうです。

佐分利ユージン氏記者会見

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改めての紹介と今後の方針について説明したい。オレゴン州出身。育ちは横浜。母親が日本人。今では日本での生活の方が長い。ワシントン大学を卒業後、徳間書店に勤めてから日本のマイクロソフトに転職した。一時はCMOを務めた。

転職を決意した要因は3つ。

・技術、製品が大事だと思っている。

・アメリカではサブスクリプションモデルに成功している企業の一つ。

・開発者など人に惚れる部分があった。

アドビの良いところを残しながら、経験を生かし、アドビに貢献していきたい。

デジタル時代のマーケティングとして話題を共有したい。ALSアイスバケツチャレンジ。デジタルを使って盛り上がった。デジタルは我々の生活を変える可能性がある。

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消費者の主要な接点はアナログではなくデジタルになっている。それに基づいてマーケターが考えないといけないのはデジタル。アドビは業界に先駆けてクラウドサービスに移行した。アドビはマーケティングプロセスを包括的に支援できる唯一の企業である。

Adobe Creative Cloudのサブスクリプション数は拡大している。2014年6月時点でグローバルで約230万件。

(製品デモが行われる)

これからの企業のコミュニケーションは勘と経験だけでなく、実際のデータに基づいたコンテンツ作成、右脳のアートと左脳のサイエンスが重要になると考えている。

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2008年くらいにデジタルのビジネスを追加してから、非常に売上は伸びている(白いライン)。日本はアメリカに続く第2位の市場。

2014年6月にアドビ初のハードウェア製品もリリースした。日本では10月中旬のリリースを予定している。クリエイティブのプロが常に最先端の技術を利用できるよう支援していきたい。

クリエイティビティと売上に相関関係はあるのか? 売上が10%以上成長した企業が、クリエイティビティを重視していたというデータがある。

マーケターも大きな変革を迎えている。76%がこの2年間で過去50年間よりもマーケティングが大きく変わったと感じている。日本では91%のマーケターがデジタルマーケティングは企業の競争力強化に必須であると答えている。しかし、残念ながら日経企業ではCMOの数は少ない。

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今こそ、経営者がマーケティング活動を再構築し、デジタルマーケティングに取り組むべき時期にあるのではないか。製品を提供するだけではデジタルマーケティングは成功しない。プロセス、ピープル、プロダクト、3つのPが大事。

アドビは製品だけでなく人材育成のトレーニング、コンサルティングサービスも提供している。

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デジタルマーケティングに力を入れている企業は、明らかに売上への影響で出てきていることが伺える。ネット通販売上高国内トップ企業3社がAdobe Marketing Cloudを利用。ベスト国内ブランドトップ10企業のうち7社も利用。

日本ではまだまだデジタルマーケティングが大きく取り上げられていないため、国内における認知と理解促進をドライブしていきたい。包括的なソリューションを提供し、日本経済にも貢献するというミッションを持っていきたい。

質疑応答

Q. マーケターの需要に応じてソリューションを提供するということだが、直近でこういう分野に力を入れてく、今はまだ提供していないもので強化していく予定のものなどはあるか?

A. Creative Cloudは様々なデスクトップアプリのエンハンスメントは引き続き行っていく。ハードウェアを出しているが、こちらはハードウェアを伸ばすということではなく、CCをより活用して貰える環境を作っていこうという試み。お客さまの要望を聞きながら、それにあわせたイノベーションを提供していく予定。

Marketing Cloudは日本ではなかなか取り入れられていないのが現状。Marketing Cloudの導入を進めていきたい。

Q. 日本ではマーケティング支援という形で、人員を組織的な部分でどうするのか?

A. マーケティング部分がお客さまとの会話のメインになっている。技術だけでなくデジタルマーケティング導入時の教育サポートであったり、テクノロジーのコンサルティングといったサービスを今も提供している。

Q. ワールドワイドで売上が6:4という数字だが日本は?

A. 日本は長くCreative Cloudを提供しているので海外以上に好調。6:4を上回る数字となっている。日本ではデジタルマーケティングはまだまだこれから、ということもある。ワールドワイドと同じ数順で成長させていきたいと考えている。具体的な数字は控える。

Q. デジタルマーケティングの分野について。トータルソリューションとしてIBMやオラクルなどがあるが、競合に対するアドバンテージは?

A. 実は競合はあまり意識していない。お客さまにフォーカスして製品を開発している。これからもそうしていきたい。コンテンツ製作、クリエイティブ、マーケティングクラウド、両面の製品を持っているのはアドビが唯一の企業であり、それがアドバンテージと確信している。

Q. 一ユーザとして話を伺いたい。この半年でけっこうトラブルがあった。サーバにアクセスできないことがあった。何か謝罪はないか?  あってはならないことだと思うが?

A. ソフトウェア業界全体がクラウドに移行しつつある。当然、ソフトウェアライセンスからクラウドサービスとなると、事業内容は大きく変わる。その変革の中、最高のサービスを提供しないといけないことは確信している。引き続き強化していく、ぜひユーザに満足してもらえる体験を提供していきたい。

Q. 佐分利氏に対する本社の期待は?

A. これといって一つではないが、日本ではデジタルマーケティングはまだまだ早いのかな、と。これからはマーケットリーダーとして活用して貰うことで、市場でトップとして認識されたい。

Q. クリエイティブ向けの製品を見ていると、日本だけ独自の競争が起きている気がする。漫画家向けの製品があったり。何か海外にはない競争があることで、日本向けの製品で考えていることはあるか?

A. 日本向けの単品で新たな製品の計画はないが、日本市場の機能面、品質に対する期待は高いので、その曲面に向けての開発部隊と考えて欲しい。日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパもそれぞれ違う。各地域において取り組みは違う。それにあわせてやりたい。

Q. 任期中に日本法人として何を達成すれば成功と考えているか?

A. 定量的なものは特にないが、CCは前年対比20%、MCは前年対比25%という数字があるので、それを上回るように頑張っていきたい。

Q. 佐分利社長はマイクロソフトが長かったが、Macラブなのか、Windowsラブなのか?

A. 両プラットフォームが重要だと考えている。両プラットフォームに向けて製品も提供している。これしか答えられません(笑)