エアガンに本物と同等の殺傷能力…製造会社捜索という記事より。

東京都北区の遊戯銃製造会社「タナカ」が製造販売した回転式拳銃型のエアガンが、本物の拳銃と同等の殺傷能力を持つことが分かり、警視庁組織犯罪対策五課が銃刀法違反(拳銃所持)容疑で同社を家宅捜索していたことが9日分かった。

タナカの「カシオペアタイプ」というエアガンが、薬きょうを改造すると金属弾を発射して本物と同程度の殺傷能力があることが明らかになったそうです。

通常は銃本体にガスを注入してプラスチック弾を発射しますが「カシオペアタイプ」では薬きょう内にガスを注入する仕組みになっています。

警視庁などが鑑定した結果、強度を上げた薬きょうの中にガスの代わりに火薬を詰めると、金属弾を発射でき、本物の銃と同じ程度の殺傷能力があることが分かった。

薬きょうの強度を高めるとか、それなりの知識があるとできてしまうことなのでしょうか。

800丁が押収されており、既に1,000丁程度が出荷されているということです。タナカは流通在庫を回収しました。

日本遊戯銃協同組合(ASGK)から、アナウンスが出ていました。

(株)タナカ カシオペア製品について

カシオペアタイプ製品の特徴は、薬莢型の小型タンクにガスを注入し、外部から力を加えてガスバルブを開放する、蓄圧式カートリッジを使用する拳銃型玩具銃であって、現行のASGK検査規約には載っていない新規のカテゴリーに属する製品である、という点にありました。従いまして検査をおこなうには新規約の制定が必要となります。

「カシオペアタイプ」は、従来にないタイプの製品だったようです。ASGKに送られてきた模型や図面を検討したところ「玩具銃としては新規でとても興味深く、エアガンとしての危険性は感じられませんでした」ということです。

しかし「蓄圧式カートリッジを用いることには言いようのない不安がありました」として、

エアガン業界にはコクサイM29事件(昭和61年・1986年)とアサヒM40A1事件(平成6年・1994年)というふたつの苦い記憶が残っています。両方とも蓄圧式カートリッジを用いるものでした。

という「過去の記憶」が紹介されています。

「M29」は「何の工夫も安全性への配慮もなく、実銃の構造と全く同じ」でした。「M40A1」は「鉄製の薬室は22口径の実弾発射を繰り返しても十分に耐えられるほど丈夫」ということで、後に回収されました。

そして「カシオペアタイプ」ですが、

しかも後方からの力を複数の部品を介して伝達し、最終的にはシーソーのような小さな部材で力の方向を逆転させていますので伝達効率は悪く、とても22口径のような実弾を発火させる力はありません。

ということだったにも関わらず、ASGKとして不安があったのか、について次のような説明がされています。

しかし、もしかすると、火薬入り密造薬莢ならば発火させてしまう打撃力があるのかもしれない、という漠然とした言いようのない不安が残りました。

火薬入り薬きょうを作って実験することは法律で禁止されているため、実験したりデータ収集することもできないため、

どのような力で発火するのか全く分からない、火薬入り密造薬莢というものを相手にタナカはどう立ち向かえば良いのか、組合として公式なアドバイスをタナカに伝えることは不可能でした。

ということになったということです。「なんとなく不安だからその製品を売るのをやめてください」とも言えなかった、と。

そしてタナカに対し提案を行い、さらにタナカが改良を加えて発売されたものの、最終的にはASGKとして公認できませんでした。「火薬入り薬きょう」に対する「なんとなく不安」が残ったからです。

さらに、

・タナカはなぜ家宅捜索を受けたのか
・警察の捜索について
・薬莢式のエアガンはすべて危険なのか

と見解は続いていきますが「安全な玩具銃を作ろうと努力したタナカが罪に問われるかもしれないと考えると、やりきれない気持ちです」と綴られています。

さらに、

とても長い文章になってしまいましたが、今回の事件は業界にとって悪夢のような事件であって、簡単な報告書だけでは表しきれないものでした。

とも。

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“殺傷エアガン”1000丁出荷されちゃった

カシオペアタイプは回転式拳銃(リボルバー)型で全長38・5センチ。メーカー希望小売価格は2万790円。装弾数は5発で、弾の直径は6ミリ。実弾銃と同様にシリンダーに弾を装てんして撃つ。