記憶障害を救う、シリコンチップの人工海馬といううニュースより。

南カリフォルニア大学(USC)神経工学センターの所長を務めるセオドア・W・バーガー教授は、海馬(記憶をつかさどることで知られる脳の部位)の働きを模倣する埋め込み型のシリコンチップ(イメージ)を開発している。成功すれば、この人工海馬が本物の海馬の代わりを務め、記憶障害に苦しむ人々が新しい記憶を蓄積する能力を取り戻せるようになるかもしれない。

テレビで見たことがあるのですが、交通事故で脳に損傷を負い記憶障害になると、例えば昨日のことが思い出せなくなります。そうすると、毎朝目が覚めて自分がどこにいるのか、子供は誰の子供なのか、ということに戸惑い苦悩するそうです。その方は毎日日記を付け、それを自分の記憶していました。しかし、このシリコンチップの人工海馬が実用化されると、そうした障害が解消される可能性があるようです。記事によれば、「仮定」の話ではなく「時間」の問題になっている、と。

USC情報科学研究所の先端システム部門の責任者を務めるジョン・J・グラナッキ博士は、こうした数学関数をマイクロチップ上に翻訳する研究に取り組んできた。このマイクロチップが、ラットの海馬の薄片内にあるニューロンの処理——インパルス(活動電位)を受けてそれを処理し、信号に変換して送る——を模倣する。研究チームによると、マイクロチップは、95%という驚くべき精度で、まさにその処理を実行しているという。

「アウトプットを見ても、本物の海馬なのかマイクロチップの海馬なのか違いがわからないだろう」ということで、正常に機能しているそうです。まだまだラットの海馬のニューロンを培養液に浸した状態での実験だそうですが、生きた活発なラットの海馬の数学モデルを開発し、それをマイクロチップ上に翻訳するのに2〜3年、サルの場合は7〜8年、そして10年以内に、臨床応用にこぎつけることを目指しているそうです。

ボストン大学のアイヘンバウム教授は、「実用化にはほど遠い。ただし、この計画が本当に実現可能なのかどうか、これからの10年でわかるだろう」と話す。