“論”という程、大げさなものではありませんが、安倍晋三氏をアイドルに見立てたこの1年くらいの流れは面白いです。個人的には、別に安倍晋三氏本人は好きでも嫌いでもありません。

安倍晋三(49歳)――岸信介が育てた作品、アイドルでは終わらない

もう少し無垢なプリンスでいられたし、またいたかっただろうに、このままなら選挙ポスター用のピンナップボーイとして費消された形だ。失敗したイベントの、販促材で終わったといおうか。

拉致被害者の問題で世間は安倍晋三氏が大きな役割を果たしたと思っているけれど、実はそんなことはなくて、昨年9月の日朝首脳会談に至る交渉は経緯から外されていたし、平壌に飛んだのも「官房副長官とは首相の外遊に常に同行するからで、いわば日常業務である」というあたりも「へー、そうなんだ」という感じでした。しかし、安倍晋三氏には何かが見えた。

例えば金正日と相対した時の、怒りを押し殺した顔。そして帰国した拉致被害者とその家族の前に現れた安倍が見せた、衷心を感じさせ、打算のなかった顔。

確かに、自分の意志とは関係なく階段を登らされていく、アイドルの苦悩とある種似ているのかもしれない。