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2014年1月にサントリーがアメリカのバーボンウイスキーメーカー「ジムビーム」を買収してから、初めて実現したコラボレーションが、2015年7月28日より発売開始となる「ジムビーム シトラス ハイボール・グレープフルーツ」です。「ハイボール」が日本でブームになってから5年以上が過ぎました(ここでいうハイボールとはウイスキーハイボールのこと)。日本で「ハイボール」は定着しました。どこでも飲める、安心安定の存在になりました。

しかし、業界は革新が起きなければ先細ってしまうもの。そんなことをサントリーが危惧したかどうかは分かりませんが、これまでの「ハイボール」の競合となるような製品を投入するようです。発売に先立ち、ブロガー向け試飲会に参加させて頂きましたのでレポートします。

ハイボール前夜

ハイボールは、ぼくにとってはおっさん臭い飲み物の代名詞でした。そもそも、スピリッツやリキュールをソーダで割ったもので、焼酎ハイボールやウイスキーハイボールのような種類があることも知りませんでした。

ぼくがハイボールに触れた最も古い記憶は、2008年のサントリー「プレミアムソーダ」で「白州」を飲むという記事で、そもそもウイスキーすらほとんど口にしていない頃でした(当時はウイスキーのソーダ割と呼んでいた)。

不思議なことは重なるもので、その一週間後にはサントリーの白州蒸留所ツアーに行き、衝撃を受けた「すごいハイボールの作り方」という記事を書きました。プロから、本気のハイボールの作り方を学んだら、とてつもなく美味しかったのです。そこからハイボールに興味を持ち、サントリーの協力を得てイベントを開催したり、自分でもさまざまなウイスキーでハイボールを試したりして何十本も記事を書くことになりました。

当時は飲める店も少なかったハイボールですが、ご存知の通り女優・小雪のテレビCMが始まり、日本全国の飲食店を席巻していきました。今ではビールの代わりに飲んでいる人も多く、酒場の定番ドリンクの仲間入りをしています。これが、わずか6年とか7年くらいの出来事で、自分も少しは関わって話だと思うと非常に感慨深いものがあります。

バーボンとは?

ここで、ジムビームというバーボンウイスキーの、そもそもバーボンとはなにか、を説明しておきます。

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アメリカに移住した人々が東海岸でウイスキーづくりをしようとしたのがきっかけで、東海岸で収穫できるライ麦を使ったのがバーボンの始まりだそうです。重税を逃れて西へ行き、ケンタッキーの山奥にたどり着きます。そこにはライ麦ではなくコーンがあり、それを使いバーボンができました。言うまでもなく、天然水も美味しい場所です。

バーボンの定義は次のようになります。

1. アメリカで生産される

2. 原料穀類の51%以上がトウモロコシ

3. アルコール度数80度以下で蒸留

4. 内側で焦がした新しいホワイトオークの樽でアルコール度数62.5度以下で熟成(アルコール度数40度以上でボトル詰め)

5. 原酒には水以外のものを加えない

細かい定義がありますが、アメリカで生産される原材料が51%以上がトウモロコシのウイスキー、と覚えておくと良いかもしれません(2年以上熟成するとストレートバーボン)。

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日本では、まだバーボンは聞きなれないかもしれませんが、カクテルでもロックでもストレートでも、アメリカでは大ブームになっているそうです。味の特徴は「新樽由来のバニラと香ばしさ」ですが、これは一口飲むだけで分かって貰えると思いますし、かなり癖になります。

ビーム家 〜創業者はジェイコブ・ビーム

ジムビームの歴史は、そのままバーボンの歴史でもあります。1975年に創業。ジムビームというのは、4代目のジェームズ・ビームの名前に由来しています。彼は、禁酒法の時代を乗り切った人物だそうです。

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現在は7代目のフレッド・ノーで、ビーム家からノー家に嫁いだ血筋です。バーボンはどう飲んだらいい? という質問に、フレッド・ノーは「好きなように飲んだらいいんだよ」と答えたそうで、ジムビームは飲みやすく、飲み方が自由なのも基本となっています。

ハイボールに新たな“革命”は起きるのか?

ハイボールの歴史、バーボンの歴史を簡単におさらいしてみましたが、新発売される「ジムビーム シトラス ハイボール・グレープフルーツ」で新たな革命が起きるのか、ということに興味があります。

昨今のハイボール・リバイバルは「角ハイボール」の歴史でもあります。安価で飲みやすい、誰もが美味しいと感じるハイボールが角瓶で、それを使用したハイボールです。リーズナブルで、どこでも誰でも安心して飲める存在です。いろいろなウイスキーを使ったハイボールを飲みましたが、やはり戻る場所は「角ハイボール」だと感じます。

サントリーとしては、白州や山崎を使用したハイボールも提案しましたし、実際に白州のハイボールはスマッシュヒットしていると思いますが(飲める店も多い)、ジャパニーズウイスキーとして、あくまでも角ハイボールの流れを汲むもの、延長線上にあった製品だと思うのです。

そこで、今回のジムビームを使用したハイボールです。バーボンを使用したハイボールで、なおかつグレープフルーツを使用した「シトラス ハイボール」と銘打たれています。ではなぜ、コラボレーションの初製品が「シトラス ハイボール」となったのか?

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これは、六本木でオープンしていたジムビームバーで「シトラス ハイボール」が圧倒的な人気を誇ったことに由来しているそうです。来店者の半分は女性で、女性からの支持も厚かったようです。つまり、缶製品として発売するならば、これ以上のものはなかった、ということです。

ハイボールはウイスキーの復活を成し遂げ間口を広げましたが、もしかすると「シトラス ハイボール」はさらにハイボールを一般化し、バーボンをメジャーな存在にするのではないか、という気がしています。ハイボールも飲まれるようになりましたが、やはりウイスキー味です。それがジムビームベースでシトラスのハイボールとなると‥‥甘い香りのする、爽やかなハイボールとなり、より万人受する味だと感じました。

簡単にいうと、サワー類が好きな人も、ウイスキーが人も、どちらも取り込んでしまうような味になっていると思います。時は夏、リフレッシュしたい時に柑橘系の炭酸飲料が欲しくなるのは間違いありません。

缶の「シトラス ハイボール」を好んで飲んだ人が、居酒屋で同じようにシトラス系のバーボンハイボールをオーダーする日がきて、それが角ハイボールと同数になったとしても全く不思議ではないと思います。それくらい美味しくて飲みやすい味でした。

「シトラス ハイボール」手間がかかっている原酒をどう再現するのか?

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缶の「シトラス ハイボール」の元になったものも試飲させて頂きました。目の前でグレープフルーツを絞り、カクテルを作っているのですから、当然のことながら美味しいです。

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グレープフルーツの皮の絞り方もスクイーズすると苦味が出るので、ジューサーを使用しています。もちろん香り付けなども行われています。とても手間のかかったカクテルで、美味しいのは当然ですが、これを缶で再現するという無茶をしているのです。

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正直なところ、ブラインドで試飲した際に、これを見分けるのも簡単ではないと思いました。もちろん違いはあります。フレッシュな香りとか、スピリッツの感じとか、注意深く飲んでいると分かりますが、十分に元のカクテルが再現されていると感じました。

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ここにも秘密があり、原料酒に関しても3種類が使われているんです。時間の経過にしたがって香味が変わってきます。思わず「香料を使っているんですか?」と聞いてしまったほどです。もちろん、使用していません。

特筆すべきは、少し時間を置いてから飲み比べたところ、氷が溶けて本家の「シトラス ハイボール」は香りや味が弱まったのを感じましたが、缶の「シトラス ハイボール」はさほど弱まりを感じませんでした。これも、3種類の原料酒を使用するなどの工夫が効いているそうです。

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面白いんですけど、アメリカのバーボンだからか、ハンバーガーやチキンとのマリアージュが素敵でしたか。この分だと、ピザやステーキにも合うと思います。

「シトラス ハイボール」革命が起きたら‥‥

あまり褒めすぎるとアレですが、でもウイスキーハイボールが好きな身としては、こうしたチャレンジした製品が登場するのは嬉しいですし、本当に美味しかったので許してください。発売されたら、しばらくは「ジムビーム シトラス ハイボール・グレープフルーツ」を買おうとも思ってますし(夏にぴったりだから)。是非とも、みなさんも機会があったら、ハイボールが好きだったら、カクテルが好きだったら、グレープフルーツサワーが好きだったら、飲んでみてください!

2015年7月28日、発売開始です!

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最後に余談です。「シトラス ハイボール」が爆発的に売れて、居酒屋でも「角ハイボールですか、シトラスハイボールですか?」という状況が生まれ“革命”が起きたとしたら、その時はドライ製品にも期待しています。純然たるジムビームのハイボール缶ですね。最近はチューハイばかり飲んでます。角ハイボールも何も混ざってない方がいい。となると、やはり「ジムビーム・ハイボール缶」も欲しい! そもそも、甘い香りのバーボンで、ハイボールにしても非常に美味しいですから。