友人の落語家、立川キウイさんが時々思い出したようにくれるメールを転載します。

立川キウイの仮小屋

「つうし~ん」
恐怖新聞の如く、頼んでもいないのに、不定期で勝手に一方的に届くキウイ通信です。すみません。
でもご安心あれ。読んでも、恐怖新聞のように寿命が一日縮まりません!
だけど、今回はチョイと長いので、どうかよろしくお願い致します。
携帯の方、二回に分けますが、切れてしまっていたらゴメンなさい。


最近、嬉しかったことです。
それは先日の11日に、人間国宝・故柳家小さん大師匠のお孫さんでもあられる、花緑兄さんの一番弟子の初花さんの会に声を掛けて頂けて、ゲストで出演。
初花さんはニツ目でも、後輩になる為、僕は前座ではなくゲストで、仲トリをとらさせて貰えました。
何だか僕は相変わらず奇妙な扱いというか、前座なのに偉いという、不思議な上下関係になってしまいます。

ネタは短命という艶噺で、会場が居酒屋の二階で酒を飲みながらだったので、丁度良かったかもしれません。
お客さんは20名弱。僕はマクラを入れて30分ほどの高座でした。

終演後、場所が居酒屋というのもあり、そのまま打ち上げ、宴席。
そしたら50チョイ位のサラリーマンの方から握手を求められて、「キウイさん、ありがとう、今日は楽しかった、応援します」と言われました。
何やらその先輩は管理職とやらで、この6月までに20人をリストラせねばならず、胃に穴の空くような辛い毎日。
そのリストラの対象には、かつての上司、先輩もいて、もう大分年輩だから、今更就職先などなく、「お前に仕事を教えたのは誰だ!」と、刃物を突きつけられもしたそうで、
あとはかつての部下。まだまだ働き盛り。しかも女房子がある家庭持ち。マンションのローンも組んでるとか…。

その管理職の方は、「私にだって娘が二人いる身です。だから…」と呟き、とにかく酔いたいといわんばかりにグッと焼酎を飲まれて、
ポツリと、「いつか私も、誰かにクビにされるんですよね…」と一言。
改めて皆さんも、本当に大変なんだなと思いました。

その方は、見た目は普通で、特におかしげな、あやしげな感じもしません。
だけど様々なことを背負い、抱えているんだなと思いました。
でもその管理職の方が、そりゃお世辞もあるでしょうけど、少しでも僕の落語で楽しんでくれたというのが嬉しくて、
確かにその辛い状況を何とかする事も、また、その店から一歩出て、明日になれば、厳しい現実が待っているわけですけれども、
ほんのひとときでも、もし本当に何か楽しめてもらえたんだとしたら、僕も少しは落語家として、何かの役に立てたのかもしれないと思えて、ホント、嬉しかったです。

最後、「前座16年、負けるなよ!」と励ましてくれたので、「先輩も頑張って下さい!」で見送りました。
そんな夜がありました。


頑張ること。それは生きていて、誰にとっても普通のことであり、当たり前のことでもあります。
だけどどうしても上手くいかなかったり、裏目に出たり、報われず、充実しない時期、または辛い時期だってあると思います。
だから最近、“頑張らず、しかし諦めず”という言葉が気に入っています。
無論、それは本当に頑張らないという意味ではありません。
期待はしないで頑張れという事でして、あと辛い時は敢えて無理には頑張らず、だけど諦めずにいようというわけで、やはり継続は力なりです。

色々とあるかもしれませんが、皆さんの人生も、きっと実りあるものでありますように。

ではでは、思いきり長々と失礼致しました!