大学時代のバンドメンバーが心臓麻痺で急逝した。連絡が入ったのは昨日だった。

さっきまで通夜の席にいた。クルマで駆けつければ1時間ほどの距離に、彼はいた。33歳という若さでの心臓麻痺は、にわかに信じられなかったが、穏やかな顔をしていたのがせめてもの救いだったか。その時はさぞかし苦しかったはずなのだが。

学生時代に組んだバンドは唯一「The Bootleg Orange Juice」だけで、ぼくがボーカルとギター、彼はドラムだった。そして物静かなベースがいた。同じサークルの仲間だった。彼はプログレッシブロックが好きな繊細な男だった。決して自己主張はしないけれど、芯は強かった。練習の後は、よく3人で食事をした。ラーメンを食べた。コロッケ定食も食べた。学祭はもちろん、定期的にライブハウスにも出演し、プロを夢見た時代もあった。そして彼は1年生を3回繰り返し、大学を去っていった。バンドも、夢のように消えていった。

斎場にはサークル時代の仲間がポツポツと集まり、彼の昔話をした。

先輩の家で4合炊かれた白米を全てお茶漬けで食べたこと。「4合、お茶漬けはきつかったですよ」って食い過ぎだバカ。先輩の家のフローリングで寝たら固くて入院している夢を見たこと。彼が寝ている時は仰向けで微動だにしない。棺の中にいる今と全く同じだバカ。

最後に月並みだけど、眠っているような顔を見ながら心の中で言ってやった。

「あの世に行ったらまた一緒にバンドやろうな」

こんな気持ちになったの初めてだった。