マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男

『Liar’s Poker』や『The New New Thing』の著者ルイスが、メジャーリーグ球団の中でも選手の年俸が最低だったオークランド・アスレチックスがどのようにして2002年の輝かしい戦績を残したのかを分析した1冊。ボストン・レッドソックスやニューヨーク・ヤンキースを見てわかるように、選手の報酬は世間に公表されている。野球関係者やファンは、才能のある選手はそれに見合う最高の報酬を手にする権利があり、実際に手にしていると思っていることだろう。しかし著者ルイスは、あまり知られていない数字や統計こそ重要だと主張する。

マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男

ずっと気になっていたマネー・ボール 奇跡のチームをつくった男だったのですが、smashmediaでマネーボールの書評を読んで、これは是非買ってみようと思いました。

心にひっかかった点をいくつか。

こういう考え方は野球では珍しいのかもしれませんが(実際、今の日本プロ野球でもしょっちゅうバントしてますね)サッカーとかでは珍しくありません。ポゼッションフットボールというのはまさにこういう考えです。たとえ自陣内であろうと自分たちでボールを持っていれば絶対に点を取られない、だから負けないという考えですね。
特にその業界に長くいる人ほど「運」の部分に強い執着があって、そこに「センス」だの「勘」だのを持ち込もうとします。野球解説者はその典型ですね。
ぼくが売上に関与する構成要素を分析した時も、意外な数字が強く関与していることがわかりました。あとはそこにリソースを集中できるか、いわゆる「選択と集中」ができるかという覚悟の問題ですね。

サッカーが好きなのでよく見ていて思うのですが、ロジカルな監督でないとチームの浮き沈みが激しいですね。そもそも、浮くことすらできない場合が多い。だから、ジェフ千葉のように主力選手が次々と抜けていっても変わることのないサッカーが続けられるのは、ひとえにオシム監督の手腕です。

オシムのサッカーは本当にロジカルです。詳しいことは分かりませんが、戦術論に長けていて、選手たちにそれを伝えるのがうまいのでしょうね。ロジカル故に、選手たちも理解が深まり、感覚ではなく理論としてチームで継承されていきます。ですから、いわゆる“ジェフのサッカー”が形作られていく訳です。

全くもってビジネスも同じで、分析せずに感覚に頼ったりするようになると、平均したパフォーマンスを続けていくのが難しくなるのではないでしょうか。

例えばサッカーで言えば、昨年の鹿島アントラーズ、ジュビロ磐田がそうですね。選手の平均年齢が上がり世代交代でもがいていた状態です。チームの中でもっと情報が共有されていれば、ジェフのようにコンスタントなパフォーマンスが出せたかもしれません。

先日、浦和レッズとジェフ千葉の試合を観戦しましたが、ジェフのサッカーは本当に凄いです。一度ボールを持つと、次々に選手が駆け上がっていきます。あのパターンが何種類あるのか分かりませんが、レッズのディフェンス陣もかなり翻弄されていました。ある意味では、引き分けでラッキーだったかもしれません。

ジェフはここ数年、毎年主力級の選手がボコボコ抜けているのにサッカーは変わらないんですからね。凄いことです。

サッカーは選手経験がなくても監督が務まるスポーツとして知られていますが、いずれ野球もそうなるかもしれませんね。「盗塁も失敗率が3割程度ある以上はリスクが高すぎるからやりません」という話は野球経験者からするとあり得ないのかもしれませんが、面白い話です。

スポーツがつまらなくなりそうだ、という声も聞こえてきそうですが、ジェフのサッカーを見ている限りはそうは思いませんでした。取るべきリスクは取り、きちんとチャレンジするシーンはいくつも見られましたからね。正直、敵ながら興奮した。要はいかにそのリスクをヘッジしていくか、ということであると思うんです。